下肢スポーツリハビリテーション
— いつ何を測り、どの数値で次の段階へ進めるか。
関東労災病院の理学療法士4名が、下肢5疾患の復帰戦略を解説します。
全5エピソード/ブロンズ・シルバー・ゴールドのどのプランでも視聴できます・30日間返金保証
書籍『下肢スポーツリハビリテーション ー関東労災病院モデルー』と連動した番組です。編集を務めた今屋健をはじめ、関東労災病院 中央リハビリテーション部の理学療法士4名が、膝蓋骨脱臼、アキレス腱断裂、内側側副靭帯(MCL)損傷、足関節外側靭帯損傷、股関節唇損傷の5疾患を分担して解説します。監修は同院スポーツ整形外科 部長の眞田高起。手術とリハビリが同じ院内で続く環境で積み上げられた内容です。
軸になるのは復帰戦略です。組織が治るのを待つのではなく、いつ何を測り、どの数値を満たしたら次の段階へ進めるのか。ATRA(アキレス腱自然下垂角)の患健比、HRHI、距骨傾斜角、FABERテストの床〜膝距離といった指標と閾値、そこへ到達させる運動療法を映像で解説します。痛みと腫脹を引かせる段階と、ニーインや内反といった受傷肢位を消していく段階を、分けて設計できるようになります。

この番組の3つの特徴
書籍連動番組は、書籍では伝えきれなかった内容・文章では伝えづらかった部分を、著者自らが解説する番組カテゴリです。本番組で前面に出るのは、紙面では省略されがちな手つきと荷重の細部です。どちらの手で引くか、どこに体重を乗せるか。関東労災病院 中央リハビリテーション部の理学療法士4名が、担当してきた5疾患それぞれで見せます。
同じヒールスライドでも、引く手が変わる
膝蓋骨脱臼では下腿内旋を誘導し、恐怖感が強ければ外側から膝蓋骨を支えます。MCL損傷では内側の手で牽引して外反と外旋のストレスを避けます。同じ名前の運動でも、守る組織が違えば手を置く位置も引く方向も変わります。その差を実際の手つきで確認できます。
復帰の可否を、数値で判断する
「そろそろ大丈夫そう」で段階を上げない。アキレス腱断裂ならHRHI 90%以上と連続ジャンプ各10回、膝蓋骨脱臼なら術後6ヶ月・筋力比80%以上とニーインの消失。復帰基準を数値で持てるので、進める根拠も待たせる理由も患者に説明できます。
保存と手術の分かれ目を押さえる
膝蓋骨脱臼の4分類、MCL損傷の外反ストレステスト3段階、足関節外側靭帯損傷の重症度分類。どの所見が手術の検討に傾くのかを、画像所見と徒手テストの組み合わせで整理します。自院で進める例と医師へつなぐ例の線引きが持てます。
書籍の要点を、図解で先取り
5つの疾患は、部位も術式も違います。それでも通して出てくる軸が3つあります。組織の緊張度を左右差で測ること、荷重の中心を内側に落とさないこと、層と層のあいだの滑走を残すこと。まず図で押さえ、番組では各疾患の実際の数値と手技で確認してください。

緊張度は角度と左右差で管理する
アキレス腱断裂ではATRA(アキレス腱自然下垂角)の患健比80〜90%が目安です。高ければ癒着、低ければエロンゲーションを疑います。足関節では距骨傾斜角、股関節唇損傷ではFABERテストの床〜膝距離。健側を基準値として使うと、経過が推測ではなく比較になります。

荷重の中心を、どこに置くか
膝は第2趾の方向へ。足部は母趾側に乗せて内反を抑える。股関節唇損傷では骨盤軽度前傾・股関節と膝の軽度屈曲で内側楔状骨に荷重。ニーインと内反という受傷肢位を、乗せる位置で避けます。筋力が戻っても荷重の線が内側へ逸れたままなら、同じ肢位を繰り返します。

可動域を奪うのは癒着のほう
アキレス腱ではパラテノンとKager's fat pad、MCL損傷では浅層と深層のあいだの滑液包、足関節外側靭帯損傷では長母趾屈筋の滑走不全。腱や靭帯が治っても、周囲が滑らなければ可動域は戻りません。どの層をどの方向へ動かすかを、映像で確認できます。
担当講師:関東労災病院 中央リハビリテーション部
本書の執筆・編集にあたった関東労災病院 中央リハビリテーション部の理学療法士4名が、それぞれ担当する疾患を解説します。
平成4年3月 九州リハビリテーション大学校卒業、同年4月 関東労災病院入職。認定スポーツ理学療法士、日本体育協会認定アスレティックトレーナー。著書に『膝関節運動療法の臨床技術』(文光堂)、『スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション』(運動と医学の出版社)など。本書では編集を務める。
2014年 了德寺大学(現SBC東京医療大学)健康科学部 理学療法学科卒業、同年 森山記念病院入職。2017年 関東労災病院入職。2020年 認定スポーツ理学療法士取得。共著に『臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ 運動器疾患編』。
2015年3月 東北福祉大学 健康科学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻卒業、同年4月 関東労災病院入職。認定スポーツ理学療法士。日本スポーツ整形外科学会、日本臨床スポーツ医学会所属。共著に『臨床実習生・若手PTのための理学療法実践ナビ 運動器疾患編』。
1999年3月 筑波大学 体育専門学群卒業、2002年3月 行岡リハビリテーション専門学校卒業。2002年4月 関東労災病院入職、2017年4月より東海大学医学部医学科 基礎医学系 生体構造学 客員研究員。2014年 認定理学療法士(スポーツ)、2025年 博士(医学)取得。
エピソード一覧
- ①外側脱臼が大多数——10〜20代の若年層、とくに女性に好発。初回脱臼後の再発率は20〜50%
- ②静的安定化=大腿骨滑車の外側面の高さと内側膝蓋大腿靭帯(MPFL・膝蓋骨内側縁の近位2/3に付着)
- ③動的安定化は内側広筋斜走線維(VMO)——筋力そのものより収縮タイミングの再教育
- ④解剖学的素因:全身性関節弛緩性(GJL)・膝蓋骨高位・Qアングル増大——形態そのものは変えられない
- ⑤外傷性/反復性/習慣性/恒久性の4分類が、保存療法か手術かの判断を分ける
- ⑥受傷機転のニーイン聴取、膝蓋骨アプリヘンションテスト陽性とMPFL付着部(膝蓋骨内側縁)の圧痛
- ⑦X線で滑車溝角・適合角・膝蓋骨高位、MRIで骨挫傷とMPFL断裂部位を確認
- ⑧大きな軟骨損傷・遊離骨片があれば、初回脱臼でも手術(骨片固定・摘出)が適応
- ⑨MPFL再建術は半腱様筋・人工靭帯によるV字型の解剖学的再建——過制動は滑走障害と可動域制限を招く
- ⑩初期は下腿内旋誘導のヒールスライド(恐怖時は外側から膝蓋骨を支持)+大腿四頭筋セッティングでVMO促通
- ⑪中期(1週〜・SLR可能後)は膝30〜45°のクォータースクワット。膝は第2趾の方向へ、骨盤・体幹前傾で患側に荷重
- ⑫後期(3ヶ月〜)は着地でKnee-out/Toe-out。復帰基準は術後6ヶ月・筋力比80%以上かつニーイン消失
- ①パラテノンとKager's fat pad——滑走機構の癒着がそのまま可動域制限になる
- ②踵骨隆起から3〜6cm近位のwatershed area。乏血性で断裂の好発部位
- ③受傷機転は膝伸展位・足関節背屈位、前足部荷重での下腿三頭筋の遠心性収縮
- ④腹臥位のトンプソンテストで底屈反応の消失を確認。振幅は健側10に対し患側7以上で負荷アップ可
- ⑤ATRA(アキレス腱自然下垂角)は患健比80〜90%が目標——高ければ癒着、低ければエロンゲーションを疑う
- ⑥簡便な指標は第5中足骨底の高さの左右差。目安は約1.5cm前後(指1本分)
- ⑦内山法(Half-Mini-Bunnell法)——近位3束・遠位2束を挟み込んで噛み合わせるように縫合し、早期荷重に耐える強度を確保
- ⑧術後の最優先はエロンゲーション(腱の延長)防止。腱が伸びると下腿三頭筋の収縮効率が落ちる
- ⑨2週〜は内山式装具を背屈−20°から10°刻みで緩和。小股・つま先を外に向けたペンギン歩行を徹底
- ⑩滑走操作の対象はKager's fat pad・内果後方(長母趾屈筋など)・術創部周辺
- ⑪5週で両脚ヒールレイズ→8週にエコー評価→10週ジョギング(HRHI=踵挙上高指数50%以上)→5ヶ月で復帰
- ⑫復帰基準はHRHI 90%以上と、垂直・前後左右の連続ジャンプ各10回、片脚5m前方ホッピング
- ①関節外靭帯ゆえの高い自然修復能と復帰目安(1度:1〜4週/2度:2ヶ月/3度:3ヶ月)
- ②浅層(AOL=前斜走線維/POL=後斜走靭帯)と深層(半月大腿・半月脛骨靭帯)——外反の60〜80%を制動
- ③屈曲60°以上で生じるAOLの巻き上げ現象と、浅層・深層間の滑液包の滑走不全
- ④膝外側からの直達外力・強制外旋——内側上顆を支点としたテコで大腿骨付着部に応力が集中
- ⑤外反ストレステストによる3段階評価——2度=30°屈曲位のみ、3度=伸展位でも不安定
- ⑥MRIのウェイブサイン=脛骨側引き抜き損傷(Stener様病変)。手術を検討すべき指標
- ⑦修復術:引き抜き・断端陥入・大転位例にKrackow/ベースボール縫合+SwiveLock・アンカー固定
- ⑧再建術:遺残不安定例に半腱様筋腱・薄筋腱で脛骨側2点固定。ACL合併例は二期的にACL再建
- ⑨ヒールスライドは必ず内側の手で牽引する——外反・外旋ストレスを与えない誘導
- ⑩クアドセッティングは股関節中間位〜軽度外旋位で。内旋位は外側広筋の代償を招く
- ⑪ジョギング開始基準=屈曲120°の獲得・熱感/腫脹の消失・十分な筋収縮
- ⑫外反抑制テーピング:脛骨外側から起始しMCL上を通して大腿骨外側へ、痛みに応じて2〜3枚重ねる
- ①足関節靭帯損傷の86.5%が外側——軽視が慢性足関節不安定症(CAI)と変形性足関節症を招く
- ②距腿関節・遠位脛腓関節・距骨下関節の複合運動と、距骨滑車の前広後狭という形態
- ③底屈位で生じる関節内の遊びと腓骨筋群の力学的減弱、前距腓靭帯(ATFL)は最大緊張
- ④重症度分類:Ⅰ=ATFL部分損傷(連続性保持)/Ⅱ=ATFL完全断裂/Ⅲ=踵腓靭帯(CFL)合併
- ⑤ストレスX線の距骨傾斜角——正常5°以下に対し、重症例では約20°の傾斜
- ⑥エコーで靭帯の連続性と動的不安定性を評価。距骨骨軟骨損傷(OLT)・剥離骨折の合併も見逃さない
- ⑦第一選択は保存療法。遺残不安定・CAIには鏡視下Broström法で腓骨付着部にアンカー再固定
- ⑧背屈・外反はATFLを弛緩させる。術後翌日はシーネ固定下、リハ時のみ外して足趾ROMと浮腫管理
- ⑨腫脹消失を条件にサポーター装着で全荷重。2週で他動・自動ROMとタオルギャザーを開始
- ⑩3週は両脚ヒールレイズと自転車エルゴメーター40W×15分×2セット、4週で80W・その場ジョギング
- ⑪6週のインターバル・ジョギングは片脚ヒールレイズ完成が条件。8週は母趾荷重で内反を抑えステップ・ダッシュ
- ⑫背屈制限が生むBad Walking(骨盤の後方回旋)は外転・外旋位の接地で是正。長母趾屈筋(FHL)を滑走させる
- ①構造的破綻(寛骨臼形成不全・FAI=大腿骨寛骨臼インピンジメント)+機能低下。積極的保存療法3ヶ月で機能改善率は約80%
- ②線維軟骨のリング構造と血行の偏り——関節面側は血行に乏しく、自然修復が困難
- ③屈曲に回旋が伴う踏み込み・方向転換で、大腿骨頭が寛骨臼縁に衝突する
- ④関節内注射でNRS(疼痛の数値評価スケール)が下がるかで疼痛源を同定→前方インピンジメントテスト
- ⑤FABER(屈曲・外転・外旋)テストは床面〜膝の距離を計測。左右差の数値化が進捗の客観指標
- ⑥FAI分類——Cam型=骨頭頸部のくびれ欠如/Pincer型=寛骨臼の過剰被覆/Mixed型=両者の合併
- ⑦laxity(関節弛緩性)型は内側広筋の強化と体幹の安定化、拘縮型は伸展・内外旋ROM拡大と骨盤前傾
- ⑧側臥位外転MMT(徒手筋力テスト)の代償(ベッドを掴む・体幹が後方に開く)=体幹機能不全のサイン
- ⑨パワーポジション=骨盤軽度前傾・股関節/膝関節の軽度屈曲・足関節背屈+内側楔状骨への荷重
- ⑩術後2ヶ月は装具で伸展10°・外旋0°に制限。小股歩行を徹底し、大股歩行・足部外転は禁忌
- ⑪Phase1〜2:タッチダウン歩行→10kg荷重→3週で1/3荷重→6週〜2ヶ月で全荷重。屈曲100°制限から始め、4週で100°以上獲得を条件にエルゴメーター
- ⑫Phase3〜4:2ヶ月でその場ジョグ→3ヶ月でダッシュ→4ヶ月でジャンプ・着地。痛みはNRS 3以内を絶対基準に
※各エピソードは書籍『下肢スポーツリハビリテーション ー関東労災病院モデルー』の内容に対応しています。内容は変更する可能性があります。
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連動書籍
この番組は、書籍『下肢スポーツリハビリテーション ー関東労災病院モデルー』と連動しています。番組で手つきと荷重の中心を確認し、書籍で解剖・術式・時期別プロトコルの数値を確かめる。行き来しながら使う想定の組み合わせです。

下肢スポーツリハビリテーション ー関東労災病院モデルー
関東労災病院のスポーツ整形外科と中央リハビリテーション部が、下肢のスポーツ外傷に対して積み上げてきた評価と運動療法をまとめた一冊です。編集は今屋健・勝木秀治、監修はスポーツ整形外科 部長の眞田高起。膝・足関節・股関節の主要な外傷について、解剖と受傷機転、画像・徒手評価、術式、時期別のプロトコル、復帰基準までをB5変330ページに収載しています。
特徴は、次の段階へ進む条件が具体的に書かれていることです。角度、患健比、週数、テストの合否——判断の根拠が数値で並びます。掲げているのはマイナスをゼロへ、ゼロをプラスへという考え方です。痛みと機能障害を戻すところで止めず、受傷前より崩れにくい状態で競技へ戻すところまでを射程に入れています。通して読んでも、担当している患者の疾患のページだけを開いても使えます。
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