チーム林典雄の臨床
運動器エコー
評価と運動療法
— その治療に、根拠を。見えるから解る。解るから治せる。
発売日:2026年9月14日 / ¥8,800(税込)・全360ページ / Amazon.co.jp が販売・発送(配送料無料)
「林典雄先生を一言で例えるならば、日本の運動器リハビリテーションの礎を築いた巨人です。」
園部 俊晴(株式会社 運動と医学の出版社 代表取締役/コンディション・ラボ所長)/本書「発刊に寄せて」より
画像診断では「異常なし」。それでも、患者は痛いと言う。レントゲンもMRIも静止画です。触診で硬いと感じても、それが本当に硬いのか、隣の組織と比べてどうなのかを示す手段は、これまでありませんでした。
本書が扱うのは、その推測を事実に置き換える手順です。圧痛部には、どの組織があるのか。動作時に、その組織はどう動いているのか。痛みや可動域制限の原因は何か。得られた所見を、どの運動療法へつなげるのか。「身体所見」と「エコー動態」を結びつけることで、評価から治療までを一本の線でつなぎます。
著者は、日本の運動器理学療法を牽引してきた理学療法士・林 典雄。約40年にわたる臨床と、Team HAYASHI が17年間積み重ねた運動器エコー研究(その間の論文は60篇)を一冊に凝縮しました。研究成果の発表先は医師が中心の日本整形外科超音波学会が主で、著者いわく「一般の理学療法士やトレーナーの方々が目にする機会は非常に少ないのが現状」でした。

本書の4つの柱
エコー画像の描出方法だけを学ぶ本ではありません。身体所見とエコー動態を結びつけ、評価から運動療法までを一本の線でつなぐための一冊です。
36の「知的欲求」
肩・肘・前腕・膝・足関節を対象に、従来の解剖学や静止画像だけでは捉えきれなかった軟部組織の動態・硬さ・滑動・神経周辺の環境を、エコーで徹底的に解き明かします。棘下筋と小円筋の硬さは、どの肢位なら個別に評価できるのか。症候性と無症候性の腱板断裂を分けているものは何か。36の問いすべてに、Team HAYASHI の研究データで答えます。
22の臨床症例(リアルケース)
肩・肘・股関節・膝・足関節・脊柱の実症例を収録。圧痛や身体所見を手がかりに、組織の癒着・滑動不全・神経障害・脂肪体や滑液包の機能障害をエコーで捉え、症状改善へつなげた運動療法のプロセスを、1例ずつ追いかけます。
「圧痛」を、見て解釈する
指先で絞り込んだ圧痛点に、プローブを当てて何があるのかを確かめます。たとえばケース19。椎間関節障害と診断され治療が難航していた10代の腰痛で、著明な圧痛のあった左L4/5椎間関節上を観察すると、多裂筋のfibrillar patternが消失し、広範な低エコー領域がありました。圧痛の正体は関節ではなく、筋の損傷でした。想像するしかなかった圧痛所見を、見て解釈した圧痛所見へ発展させます。
初学者のための特別付録
エコー画像を見たことがない。その最初の壁を越えるための付録を巻末に収めました。Bモード画像の基本、骨・軟骨・筋・腱・靭帯・血管と神経の見分け方、組織の硬さを評価するエラストグラフィーの基礎までを図解します。
本書の構成
第Ⅰ部・第Ⅱ部・特別付録の3部構成、全360ページ。

第Ⅰ部 エコー動態から紐解く
理学療法の進化と真価
全8章・36の知的欲求。たとえば知的欲求その11では、拘縮肩に対して上腕三頭筋長頭と大円筋の筋間を狙った運動療法を平均2.5ヶ月・計8回行い、屈曲可動域が115.0度から166.5度へ改善。同時に大円筋の組織弾性は59.9kPaから39.2kPaへ下がり、健側(37.8kPa)と差がなくなりました(徒手操作が難しい症例では、医師によるハイドロリリースを併用)。「なぜ?」を立て、実測値で検証する。その形式が36項目つづきます。

第Ⅱ部 見えるから解る!
解るから治せる! エコーをもっと臨床へ!
全6章・22ケース。Bennett骨棘切除後の瘢痕、鎖骨上神経の癒着、大腿神経の癒着、深膝蓋下滑液包の癒着、Kager’s脂肪体の変性。「異常なし」で片づけられてきた痛みに、組織の名前をつけていきます。圧痛と身体所見からエコーで組織を特定し、運動療法へつなぐまでを1例ずつ。肩3例・肘3例・股関節3例・膝3例・足関節6例・脊柱ほか4例。

特別付録 エコーの見え方講座
〜エコー初学者のための基礎知識〜
運動器を構成する組織は、エコーでどのように見えるのか。Bモード画像の基本から、骨・軟骨・筋・腱・靭帯・血管と神経の見分け方、strain imaging・shear wave imaging といった硬さの評価法までを図解で解説します。「見たことがない画像で説明されても、どこに注目すればいいか分からない」。その最初の壁を、本編に入る前に外しておくための付録です。
著者:林 典雄
1986年 国立療養所東名古屋病院附属リハビリテーション学院 理学療法学科卒業。2007年より中部学院大学リハビリテーション学部 教授、2015年に株式会社 運動器機能解剖学研究所を開設。『運動療法のための機能解剖学的触診技術』『関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション』など、運動器理学療法の標準教科書を数多く手がける。2006年に運動器エコーと出会って以降、研究と臨床の軸をエコーへ移し、Team HAYASHI(echo research meeting)を主宰。17年間で60篇の論文を発表し、日本整形外科超音波学会 最優秀論文賞を複数回受賞している。
本書の目次
- ①知的欲求その1:後方腱板と肩関節包とはどのような解剖学的関係を持っているのか?
- ②知的欲求その2:棘下筋と小円筋の「硬さ」を個別に評価することはできるか?
- ③知的欲求その3:症候性腱板断裂と無症候性腱板断裂を分ける要因は何か?
- ④知的欲求その4:2つの筋束で構成される小円筋は機能的にも区別できるか?
- ⑤知的欲求その5:投球障害肩に特化した可動域制限の特徴や腱板筋の硬さがあるのか?
- ⑥知的欲求その6:後方腱板筋の硬さと骨頭の変位方向との間に因果関係はあるのか?
- ⑦知的欲求その7:棘下筋と大菱形筋との筋膜連結は棘下筋の伸張性に影響するのか否か?
- ⑧知的欲求その8:Little leaguer’s shoulderに見られる上腕近位の疼痛が遷延する場合、セラピストとしては何を考えるべきか?
- ①知的欲求その9:上腕三頭筋長頭と大円筋との間には臨床に寄与する機能的関係が存在するのか?
- ②知的欲求その10:上腕三頭筋長頭と小円筋との間には臨床に寄与する機能的関係が存在するのか?
- ③知的欲求その11:上腕三頭筋長頭と大円筋との筋間を狙った運動療法は拘縮肩の可動域改善に有効か?
- ④知的欲求その12:上腕三頭筋長頭周辺の硬さは肩関節可動域と相関するか?
- ①知的欲求その13:Bankart修復術後の前下関節上腕靭帯─関節唇複合体の安定性はエコーで評価可能か?
- ②知的欲求その14:投球障害肩に見られる肩甲骨位置異常はどのような筋肉と関連しているのか?
- ③知的欲求その15:烏口上腕靭帯は下垂位外旋だけを制限するのか?
- ④知的欲求その16:肩サポーターは腕神経叢に作用する過剰な牽引刺激を緩和することができるのか?
- ⑤知的欲求その17:肩甲切痕から棘窩切痕へと続く肩甲上神経周囲脂肪組織は回旋運動に伴ってどのように動くのか?
- ①知的欲求その18:離断性骨軟骨炎に対する骨軟骨柱移植術後の屈曲制限と後方関節包の肥厚とは関連があるか?
- ②知的欲求その19:上腕骨小頭前面の軟部組織の超音波動態観察から肘関節屈曲拘縮の要因を推測できるか?
- ③知的欲求その20:離断性骨軟骨炎で生じる伸展制限に対して長橈側手根伸筋をどう考えるべきか?
- ④知的欲求その21:屈曲拘縮を認める離断性骨軟骨炎症例の長橈側手根伸筋は本当に硬いのか?
- ①知的欲求その22:前腕回内運動における橈骨輪状靭帯のlength patternは部位により異なるのか?
- ②知的欲求その23:遠位橈尺関節の周辺組織はどのように前腕回外運動に関与するのか?
- ③知的欲求その24:前腕回外運動と骨間膜はどのような機能解剖学的関係を持っているのか?
- ①知的欲求その25:離断性骨軟骨炎の発症に上腕骨滑車軟骨面の形態は関与するのか否か?
- ②知的欲求その26:浅指屈筋には内側側副靭帯の制動強度を高める機能があるのか否か?
- ③知的欲求その27:肘関節伸展制限に上腕筋はどのように関与するのか?
- ④知的欲求その28:尺骨神経が最も伸張されるポジションはどのようなものか?
- ⑤知的欲求その29:尺骨神経に対する伸張は本当に神経周辺の組織酸素環境を低下させるのか?
- ⑥知的欲求その30:上腕三頭筋内側頭は橈骨神経内側頭枝以外に尺骨神経由来の枝が分布するのか否か?
- ①知的欲求その31:私たちは膝蓋上嚢ならびにその関連組織を正しく理解しているか?
- ②知的欲求その32:思春期スポーツ障害膝に観察されるしゃがみ込み時の疼痛の原因は何?
- ③知的欲求その33:Anterior Knee Pain Syndromeにおける顆間溝角
- ①知的欲求その34:回外捻挫後に遺残する足関節前外側部の疼痛に対して中間足背皮神経障害の存在をどのように見抜くか?
- ②知的欲求その35:回外捻挫後に遺残する足関節前外側部の疼痛の原因として中間足背皮神経障害以外の病態をどう見抜くか?
- ③知的欲求その36:長母趾屈筋腱周辺に存在する名もなき脂肪組織の謎に迫る
- ①ケース1:Bennett骨棘切除後の瘢痕が原因となった肩後方部痛の症例
- ②ケース2:烏口肩峰靭帯周辺の癒着が原因となった肩前上方部痛の症例
- ③ケース3:鎖骨上神経の癒着が原因で回復が遷延した腱板断裂術後の症例
- ①ケース4:肘関節後方脂肪体のインピンジメントが原因となった肘後方部痛の症例
- ②ケース5:円回内筋の筋内腱からの剥離が原因であった前腕近位部痛の症例
- ③ケース6:筋皮神経障害に起因した投球障害肘の症例
- ①ケース7:大腿神経の癒着が原因であった鼡径部痛の症例
- ②ケース8:Iliocapsularis muscle起始部の瘢痕が原因であった鼡径部痛の症例
- ③ケース9:大腿方形筋レベルの坐骨神経が殿部・下肢痛の原因であった症例
- ①ケース10:深膝蓋下滑液包の癒着が原因であった膝前面痛の症例
- ②ケース11:大腿骨前脂肪体(prefemoral fat pad)が原因であった膝拘縮の症例
- ③ケース12:下腿の外旋不安定性が原因で生じた広範な膝後面部痛の症例
- ①ケース13:足底腱膜と足底脂肪との境界部の不安定性が原因であった足底部痛の症例
- ②ケース14:長母趾屈筋の癒着により槌状変形を呈した腓骨骨折の症例
- ③ケース15:足底腱膜炎との鑑別が重要な踵部痛の症例
- ④ケース16:前距腓靭帯損傷後生じた足関節前方インピンジメントの症例
- ⑤ケース17:長腓骨筋腱が足底部痛の原因であった症例
- ⑥ケース18:Kager’s脂肪体の変性が疼痛の原因であった後足部痛の症例
- ①ケース19:疼痛解釈に難渋した多裂筋損傷の症例
- ②ケース20:椎間板ヘルニア術後長期にわたり疼痛が遺残した症例
- ③ケース21:大殿筋深層線維が多裂筋へと移行する部位での障害が疼痛の原因であった症例
- ④ケース22:仙骨部の多裂筋損傷が原因と考えられた腰痛の症例
- ①エコー画像の基本はBモード画像/骨・軟骨・筋肉・腱・靭帯・血管と神経の見え方
- ②エコーで硬さを評価する/strain imaging・shear wave imaging・ZONE Sonographyによる音速補正
※第Ⅰ部=全8章・36の知的欲求/第Ⅱ部=全6章・22の臨床症例/巻末に特別付録。各章をタップすると、収録されている「知的欲求」「ケース」の一覧が開きます。内容は変更となる場合があります。
2026年9月14日、発売
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発売日にお届けします。全360ページ、運動と医学の出版社 刊。
書誌情報
理想の臨床を追い続ける、すべての理学療法士へ。チーム林典雄が後世に残す、運動器理学療法の集大成です。

チーム林典雄の臨床 運動器エコー 評価と運動療法
肩・肘・前腕・膝・足関節を対象に、静止画では見えない組織の動態をエコーで可視化。36の「知的欲求」と22の臨床症例で、評価から運動療法までを一本の線でつなぎます。
巻末には、これからエコーを使う人のための特別付録「エコーの見え方講座」を収録しました。
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その治療に、根拠を。
見えるから解る。解るから治せる。
(たぶん?)人生最後の執筆作業に取り組むことを決めました。」
林 典雄(本書 序文より)







































